秋へ 大好きな君でいて!
四季のなかで、好きなのはダントツで秋だ。
夏は暑すぎる。冬は寒すぎる。春は桜が綺麗だが、花粉症で鼻がやられる。消去法のようだが、ともかく秋が好きだ。
まず、果物や野菜など、実りを感じる季節だから。
サツマイモや栗、葡萄など。それを利用したお菓子なんかも魅力的だ。
数ある秋の食べ物のなかでも私は柿が大好きだ。実は大学生になるまでその美味しさがわからなかったのだが、大学で柿農家さんのお手伝いに行き、完熟でとろとろになった柿を食べてから、その潔い甘さに惹きつけられた。今年も段ボールで購入した(一人暮らしなのに)。
次に、秋晴れが気持ちいいから。
澄んだ青空を見ると、どんな憂鬱な朝も元気が湧くような、気がする。休日が雲の無い晴天だったなら、無理にシーツなどを洗濯して干したくなるほど、すがすがしい気分になることは間違いない。毎週でも掃除をしたくなる。
そして、過ごしやすい気温であるから。
夏の終わりに、半袖では少し寒いかなと思い始めたら、秋がはじまる。夏が酷暑であればあるほど、その肌寒さが幸福でたまらない。冬ほど寒くないので、コートを着なくて済むから、身軽で出掛けやすいのもいい。どこまでも散歩できそうな気がする。秋の夕方、眩い西日を浴びて帰路に着く週末の散歩は、一日何もしていなくても不思議な達成感を与えてくれる。
しかし、今年の秋はどうだろう。夏の終わりが突然来て、翌日には肌寒いでは済まされない低温になり、体が到底ついていかない。風邪をひけとばかりに、低い気温と強風で、外を歩く我々を圧迫してくる。秋が急に凶暴になったみたいで、怖いし、裏切られたような気分になって悲しい。
秋は確かに哀愁のある季節だが、それを上回る過ごしやすさがあるからこそ好きだったのに。これじゃあ淋しいだけだ。
私は柿を剥いて食べながら、外から吹き付ける強い風の音を聞いている。早く普段通りの穏やかな秋にならないだろうか。こんな強風で、紅葉も散ってしまうのだろうか。不安な季節だ。